大判例

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東京高等裁判所 平成11(行コ)123 行政事件裁判例

主 文

一 本件控訴を棄却する。

二 控訴人が当審において追加した訴えを却下する。

三 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一 当事者が求めた裁判

一 控訴人

1 原判決を取り消す。

2 被控訴人千葉県八日市場土地改良事務所長(以下「被控訴人土地改良事務所

長」という。)が昭和五一年二月二八日にした、(一)控訴人に対する原判決別紙

物件目録一の「従前地」欄記載の1、4及び5の各土地をそれぞれ「換地」欄記載

の1、4及び5の各土地に換地する旨の換地処分(ただし、右4の土地についての

被換地処分通知者名はAであり、同5の土地についてのそれは亡Bである。)、

(二)被控訴人Cに対する同目録の「従前地」欄記載の2及び3の各土地をそれぞ

れ「換地」欄記載の2及び3の各土地に換地する旨の換地処分は、いずれも無効で

あることを確認する。

3 被控訴人土地改良事務所長は、控訴人及び被控訴人Cに対してした昭和五一年

二月二八日付換地処分につき、原判決別紙登記目録記載の1ないし4の各土地につ

いて「所有者」欄記載の者に対してした各換地処分を、「新所有者」欄記載の者に

対する各換地処分に変更せよ(当審で追加した請求)。

4 被控訴人土地改良事務所長は、控訴人に対し、原判決別紙登記目録記載の1な

いし5の各土地について千葉地方法務局八日市場支局昭和五四年一月四日受付第一

号をもってされた土地改良法による換地処分による所有権登記につき、錯誤を原因

として、同目録記載の「所有者」欄記載の各所有者を「新所有者」欄記載の各所有

者に変更する変更登記嘱託手続をせよ。

5 被控訴人Cは、控訴人に対し、被控訴人土地改良事務所長が4項の変更登記嘱

託手続をすることを承諾せよ。

6 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

二 被控訴人ら

主文一、三項同旨

第二 事案の概要

一 本件事案の概要及び当事者双方の主張は、次項のとおり付加するほかは、原判

決の「事実及び理由」欄の「第二 事案の概要」に記載されているとおりであるか

ら、これを引用する。

二 原判決一一頁四行目の「全くなく、」の次に「被控訴人土地改良事務所長がこ

れを怠っている本件においては、裁判所は、同被控訴人に対し、右のような換地処

分の変更を行うことを義務付ける判決をすることができるまでに紛争が熟している

ものと言うべきである。よって、控訴人は、当審において、前記

控訴人の控訴の趣旨3記載の請求を追加する。」を加え、同二一頁七行目の次に行

を改めて

「4 換地処分の変更の義務付けを求める請求について

被控訴人土地改良事務所長は、地方自治法一五三条一項に基づき、千葉県知事か

らの事務委任を受けて行政庁として本件換地処分を行ったものであるから、権利義

務の主体ではない同被控訴人に対する本件訴えは、当事者適格を欠き不適法であ

る。のみならず、法八六条、八七条の各一項、八九条の二第一項の規定からする

と、換地処分をするか否か、どのような換地計画を定めるかは、県知事が決定すべ

き事柄であって、右の決定については、県知事の第一次的判断権が尊重されるべき

である。したがって、本件の場合は、行政庁の判断に代えて裁判所が自ら判断でき

る場合に当たらないから、控訴人の右の請求は理由がない。」

を加え、同八行目の「4」を「5」に改める。

第三 当裁判所の判断

一 総説

当裁判所も、控訴人の本件換地処分の無効確認を求める請求については、右換地

処分がいずれも違法であることを宣言するにとどめ、これを棄却すべきものと、ま

た、被控訴人土地改良事務所長に対し換地処分の変更を行うことを求める当審で追

加された訴えについては、不適法な訴えとして却下すべきものと、さらに、同被控

訴人に対し登記嘱託手続を求める請求及び被控訴人Cに対し右被控訴人土地改良事

務所長の登記嘱託手続の承諾を求める各請求については、いずれも理由がなく、こ

れを棄却すべきものと判断するが、その理由は、原判決四四頁一行目の「確定し

た」を「決定した」に改め、次項のとおり、当審で追加された本件換地処分の義務

付けを求める訴えの適否に関する当裁判所の判断を付加するほかは、原判決が「事

実及び理由」欄の「第三 当裁判所の判断」で説示するとおりであるから、右説示

を引用する。

二 義務付け訴訟(当審で追加された訴え)の適否について

控訴人が求める本件換地処分の変更は、要するに、本件第二工区について昭和五

一年二月二八日にされた換地処分のうち本件換地処分に限定して、これをやり直す

ことを求めるものであり、法八九条の二第五項にいう「換地計画の変更」に該当す

るものというべきところ、右換地計画の変更をするには、関係権利者である控訴人

及び被控訴人Cの出席の下に換地会議を開催し、変更に係る部分の決議をすること

を要するものとされており、被控訴人土地改良事務所長の

一存でこれを行うことができるものでないことは明らかである。また、仮に本件に

おいて換地計画の変更に関し換地会議を開催してみても、本件の訴訟経過に照ら

し、控訴人が求めるような内容の換地計画の変更の決議が行われる可能性が少ない

ことは、原判決がその五四頁五行目から同五五頁末行にかけて説示しているとおり

である。加えて、そもそも、換地処分を行うか否か、換地処分を行うとしてもいか

なる計画を定めるかは、土地改良事業の施行者が諸般の事情を勘案して決定すべき

こととされており、この点の判断については、施行者の第一次的判断権が尊重され

るべきものと解されるのであって、このことは、換地計画変更処分であっても異な

るところはないものというべきである。

そうすると、控訴人の右の訴えは、処分要件が一義的に明確に定まっており、裁

量の余地がなく、第一次的判断権を行政庁に留保する必要性がない場合に該当する

などの、いわゆる義務付け訴訟が許される要件を充たしていないものであることが

明らかであるから、右訴えは、不適法なものとして却下を免れないものというべき

である。

三 結論

以上の次第で、当審で追加された訴えは不適法であるから、これを却下し、その

余の各請求に関する原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、主文

のとおり判決する。

東京高等裁判所第一五民事部

裁判長裁判官 涌井紀夫

裁判官 増山宏

裁判官 合田かつ子

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